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 1.はじめに

みなさん、こんにちは!

前回は秋田港で行われている浚渫工事について学びましたね。

今回は、現在秋田港で行われている工事の中からブロック製作について紹介していきます

 

2.ブロックってなんだろう?

ブロックには「消波ブロック」「根固ブロック」「被覆ブロック」があることを以前紹介したことがありますが、

みなさんは「消波ブロック」と聞いて思い浮かべるのはどんなものでしょうか。

港や海岸でよく目にする『テトラポッド』も、消波ブロックの1種です。

最近はよく知られるようになってきましたが、「テトラポッド」はひとつの製品名なのです。

 

ブロックには、テトラポッドのほかにも穴が空いているものやデコボコしたもの、四角形や三角形のもの、さらに1個の重さが

500㎏くらいの物から80t以上のものまでたくさんの種類があります。

ブロックを積み上げることで“防波堤等に当たる波の力を弱める” “防波堤を越える波や、港内の反射波を防ぐ” 

“防波堤の土台である基礎捨石が流出するのを防ぐ” などの効果があります。

以前掲載した防波堤ができるまで~ブロック設置編~でも、ブロックの役割や設置状況を紹介しているので、こちらも

是非ご覧ください。

 

秋田港では現在、下の写真のように「テトラポッド」「三柱ブロック」「シェークブロック」「ホールブロック」の4種類の製品名のブロックを見ることが出来ます。

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この中から今回は、大浜地区のブロックヤードで製作した「シェークブロック(4t型)」について紹介します。

ここで製作されたブロックは、防波堤(第二南)の被覆ブロックとして使われます。

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3.ブロック製作の流れ

「シェークブロック(4t型)」は秋田港の中では比較的小さなブロックですが、幅・高さは約2mもあとても大きいです。

そんな大きなブロックをどうやってつくっているのかというと・・・『専用の型』にコンクリートを流し込んで固めるのです。

 

①ブロックの型枠は4つ(底枠1枚、側枠3枚)のパーツからできています。作業はまず型枠を組み立てることから

始まります。

パーツは1枚だけでも約90㎏の重さがあるため、組み立てる際にはクレーンを使い、吊り上げながら行います。


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②型枠が組み立てられたら、次にその中へコンクリートを流し込みます。

 型枠の高さは約2mもあるため、足場を設置し安全な作業場所をつくってからコンクリートを流し込む作業に入ります。

 

●ここで工事のポイント!

 コンクリートを流し込む作業のことを『打設(だせつ)』と呼びます。

打設するときは、バイブレータという機材を使って、細かな振動を与えます。これにより、コンクリート内部にある気泡が抜けて

コンクリートの密度が高まることに加え、型枠のすみずみまでコンクリートが行き渡骨材(コンクリートに含まれる砂や砂

利)が均等に分布した強いブロックができます。この作業を『締固め(しめかため)』と呼びます。

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型枠の中に入れるコンクリートは、あらかじめ生コン工場からコンクリートミキサー車で運んできます。

この時、生コンが固まってしまわないように工場から現地まで90分以内に輸送し、打設しています。

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  コンクリートミキサー車からバケットに積み替えたあと、バケットからホッパー(型枠にコンクリートを流し込み易くするために受口

を広くするもの)を通して少しずつ型枠に流し込みます。

シェークブロック(4t型)の型枠1個あたりに、約1.735m3のコンクリートが入ります。

               
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③打設が完了したら、型枠を取り外すまで『初期養生(しょきようじょう)』をします。

 養生とは、“風・雨、直射日光、衝撃、凍結などから保護して、適温に保ち、十分な湿気を与えてコンクリートの硬化作用を最大限に発揮させるとともに、乾燥ひび割れを防ぐ工程のこと”をいいます。

初期養生期間は、季節や気温などの現場条件により異なりますが、打設後4~7日程度必要です。

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●ここで工事のポイント!

 コンクリートは、セメントと水の化学反応(水和反応)によって固まります。その為、水分が不足すると十分な反応が行われないため、養生では、コンクリート温度を5以上に保ち、水分の不足を防ぐことが大切です。

 また、一日の平均気温が4以下になる冬期(12月~3月頃)などの気温低下時には、コンクリート内の水分が凍結し十分な強度を確保できない恐れがあるため、練炭を燃やして暖める『給熱養生(きゅうねつようじょう)』も行われます。


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④初期養生が完了したら、型枠を外したのち約3週間の『後期養生』を行います。

 養生シートでブロックを覆い、湿潤状態を保つようにします。

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⑤次に、製作場所から仮置き場へクレーンを使って移動させ、ブロック番号を記載して製作工事は完了です。

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こうして出来上がったブロックは、港湾施設が求められる効果を発揮できるよう防波堤や護岸の周りに設置されます。