ホーム > 企業トップインタビュー > 第2回 日本製紙(株)秋田工場
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* 企業トップインタビュー 第2回 *
自社の段ボール原紙生産部門において
国内トップの生産量・品質を誇る
『日本製紙㈱ 秋田工場』


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                 ▲ 日本製紙(株)秋田工場 全景


今回、私たちは、秋田港向浜地区に立地する日本製紙(
)秋田工場にお話を伺いました。

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                    ▲ 今回のインタビューに対応していただいた、山邉工場長

Q : 日本製紙(株)秋田工場の企業理念・事業概要についてお聞かせください。

 秋田工場では、地域社会の環境保全の維持向上、品質の向上、コストの改善を理念として掲げ、お客様の信頼と安心に応え、地域社会に貢献できる工場を目指しています。
 
 具体的には運営方針として、● 安全・環境保全最優先、● 生産責任の完遂、●顧客からの信頼維持向上、● コスト競争力強化推進 の4つを掲げており、達成すべき課題を挙げ、執務室内の目に付き易い場所に掲示しています。

秋田工場では、段ボール原紙と印刷用紙の生産を行っています。段ボール原紙の生産は、秋田工場の操業を開始した昭和47年から行っており、全国に14箇所ある日本製紙の工場の中で最大の生産量・品質を誇っています。

近年、パソコンやスマートフォンが一般化することで、情報の電子化が著しく進み、情報媒体としての印刷用紙の需要は減少傾向にありますが、段ボール原紙はインターネット通販の拡大や、海外需要などに支えられ、順調に伸びてきているところです。

秋田工場で生産している印刷用紙の主な材料としては、オーストラリアやベトナム、南アフリカから輸入している木材チップを使用していますが、段ボール原紙は、古紙と秋田で伐採される針葉樹チップ材を使用しています。秋田産の針葉樹チップ材は大変材質が良く、印刷特性や耐久性の高い紙を生産することが出来るのでとても重宝しています。


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          ▲ 中央:工場長 山邉 義貞 氏、右側:事務部長 宇野 剛正 氏、
                 左側:業務課調査役 佐々木 裕之 氏


Q : 段ボール原紙の生産量、輸出先、印刷用紙の原材料の輸入量はどのようになっていますか?

 
秋田工場で生産している段ボール原紙は年間約39万トンになり、秋田港からは、その内の約3割に当たる13万5千トンを輸出しています。輸出した製品はハブ港*である韓国の釜山港を経由し、世界中へと運んでいます。

近年の国内製紙業界の海外マーケット拡大に伴い、秋田工場からの製品の輸出量は年々増加しているところです。

印刷用紙の原材料として年間約50万トンの木材チップを輸入しています。自社専用の桟橋からベルトコンベアで、直接(トラックなどの輸送機関を使わずに)積載場へと運搬することで陸送によるコストが掛からないというメリットは、秋田工場における大きな強みのひとつで、競争力を高めるうえで無くてはならない重要な役目を果たしています。
 

* ハブ港:海上運送の中継拠点となる港のこと。

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Q : 秋田工場の発電事業についてお聞かせください

 
日本製紙では、まず北海道の釧路工場で売電用の発電設備を導入し、その後他の工場でも発電事業に取り組んできた経緯があります。秋田工場では元々自社専用の火力発電設備( 出力77,000 )のみで発電を行ってきましたが、今年1月より、他社との合弁事業で新設した風力発電3基の運転を開始しました。弊社所有の火力発電設備では、石炭やバイオマス燃料のほか、パルプ(紙の原料)の生産過程で発生する『黒液* 』という副産物を燃料にしています。自工場で発生する副産物を燃料として利用することで、エネルギーコストの削減に役立てています。

最近稼働を開始した風力発電では、3基合わせて1日に7,500kWの発電が可能です。風力発電の導入は日本製紙としては初の試みで、全国の中でも風資源に恵まれた秋田ならではの事業と言えます。風力発電の年間発電量は、一般家庭6,000 世帯分に相当する2,200 kWを見込んでいます。

また、来年度以降、石炭火力発電事業の展開も検討しております。

* 黒液 :木材に含まれる樹脂成分(有機物)と薬品が混ざった可燃性の液体。

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                           ▲ 新設された風力発電施設
                        (日本製紙(株)のマークが入っています)

Q : 秋田工場の設備投資計画についてお聞かせください

 
平成27年、28年にかけて収益向上対策として紙製造設備の効率化などの設備投資を実施してきました。今年度は、老朽化している設備の更新など操業安定化対策への投資を実施しています。

また、来年度は、チラシやカタログなどに使われる塗工紙*の製造に使う機械の稼働を止める予定でもあり、これまで塗工原紙を生産していた抄紙機*を非塗工紙(情報用紙など)用の設備に切り替える為の改造工事や、発電や紙の乾燥に用いる蒸気を生産するボイラーの操業安定化対策を中心とした設備投資を予定しています。

* 塗工紙:表面に塗料を塗ることで、美観や平滑さを高めた紙のこと。普通の印刷用紙に比べ光沢があり、
  インクののりが良い。

* 抄紙機:製紙工場において、紙を連続的に製造(製紙)する機械のこと。


Q : 秋田港に対する要望はありますか
 

原料・燃料の輸入に秋田港向浜地区の岸壁を利用しておりますが、他工場が利用する港と比べ、水深が浅い、荒天の影響を受けやすいなどの問題があります。港湾整備事業の中で向浜地区岸壁前や航路・泊地の増深を進めていただきたいです。

また、自社の製品を輸出する際、向浜地区から、コンテナターミナルのある外港地区まで製品を陸送する必要がありますが、距離があり相当のコストがかかるため、向浜地区と外港地区を結ぶ臨港道路外港線が早期に実現されることを願っています。

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                日本製紙㈱秋田工場 山邉工場長さま、宇野さま、佐々木さま、
                         お忙しい所ありがとうございました。