新年の御挨拶 ~地域の復興の加速に全力~


皆さまには、健やかに新年をお迎えのこととお慶びを申し上げます
先の震災から六度目の新年を迎えることになりますが、あらためて震災の犠牲になられた多くの御霊に哀悼の意を表するとともに、未だに震災の影響で不自由な生活を強いられている多くの皆さま方に心よりお見舞いを申し上げます
また、昨年8月末には、台風10号による甚大な災害が生じておりますが、被害にあわれた方々に対して重ねてお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます

さて、私たち国土交通省東北地方整備局釜石港湾事務所では、震災直後より、釜石港、宮古港、大船渡港、久慈港の復旧・復興事業に取り組んで参りました
多くの関係の皆さま方のご理解ご協力により、大船渡港の湾口防波堤の復旧事業は、今年3月に完了する運びとなりました。また、釜石港の湾口防波堤についても、昨年末に赤色の灯台を設置するなど、復旧完了が目前となっています。また、久慈港では、災害につよいまちづくりに向けて湾口防波堤の整備を重点的に進めており、今年度末には防波堤の総延長の約半分が概成する予定です。皆さまには、これらの港湾の復旧・復興事業の成果が、少しずつ、目に見え、肌で感じていただけているのではないかと思います。これからも、引き続き、復旧・復興事業の重点的な推進に取り組んで参ります。

復旧・復興事業と歩調を合わせて、県内の「港」には少しずつ復興の兆しが見られます

宮古港では、室蘭港への新たなフェリー航路の就航に向けた取り組みに益々熱がこもってきています。人流・物流面での宮古港の役割は大きくなり、様々なかたちで地域の復興のきっかけとなることが強く望まれます。さらに、宮古港には、近年、我が国への寄港が大幅に増加している大型の外国クルーズ船の寄港地としての期待が高まっています。観光振興、復興加速の観点で、実現を目指したいと考えています。      

釜石港では、横浜港を経由して世界各港と釜石港を結ぶ新たな国際フィーダーコンテナ航路が就航しました。さらに、現在、岩手県初となるガントリークレーン(大型のコンテナを高効率で積み下ろし可能なクレーン)の設置工事が、今年半ばの供用を目標に進められています。岩手県内陸部に集積する工業地域の国際競争力の強化に貢献するような、釜石港の更なる発展振興が期待されます。

これらの宮古港のフェリー航路や釜石港の国際フィーダー航路は、三陸沿岸道路などの復興道路、復興支援道路の重点整備の大きな効果の一つと思われます。地域の復興の加速に向けては、このような相乗効果を創り出して行くことも重要だと思います。

また、久慈港や大船渡港では、エネルギー政策としてのバイオマス発電所の建設が急速に進んでおり、港では燃料となるヤシ殻の輸入が始まっています。地域の新しい産業の一つに成長し、復興の加速に繋がることが期待されます。

このような兆しを地域の復興に繋げていくことで、ひとつひとつ、復興の加速を実現してまいりたいと考えています。

また、昨年一年間、小中高生、地域の経済団体、国内外の研究者の方々など、とても多くの方に、復旧・復興工事の現場をはじめ、それぞれの港を見学して頂きました。日頃、港では、復興工事用のコンクリートの材料となる砂などが荷揚げされたり、工業製品が輸出されたり、タンカーがガソリンや灯油をタンクに移送したり、水産品が水揚げされていたりと、様々な活動がなされています。これらの姿は、日頃、身近に見られる光景ではありませんが、日常の暮らしや地域の復興のためには欠かせないものばかりです。私たちは、港に関わる一員として、このような国民の生活と被災地の復興を支える港の様子を一人でも多くの方に知って、触れていただきたいと考えています。港の見学については、是非、お気軽にお問い合わせ下さい。

また、今、釜石港などでは、地元はもとより全国各地から集結した作業船や作業員の方々の手により、復旧・復興事業が進められています。関係者は皆、一日も早い復旧・復興を使命として、厳しい環境の中でも懸命に取り組んでいます。さらに、台風10号災害の時も、地域の建設業の方々は、被災直後から人命救助や生活再開のために不眠不休で応急作業をなされていました。港をご見学いただくことで、大人の方にも子どもたちにも、そのような使命感に燃える建設業の皆さんの姿と熱い想いに接して頂きたいと思っています。

釜石港湾事務所では、今年も、地域の皆さま方との連携・協力をより一層進めながら、釜石港、宮古港、大船渡港、久慈港等の復旧・復興事業を通じて、地域の復興の加速に寄与して参りたいと考えております
復興に求められるスピード感をもちつつ、国の機関としての中長期的な視点を大切にしながら、地域の皆さんとともに一歩ずつ復興の歩を進めて参ります

事務所職員一同、本年も何卒よろしくお願い申し上げます

 

平成 29 年 1 月 1 日                  

釜石港湾事務所長  小 澤  敬 二