東日本大震災から9年を迎えて~震災復興からの新たな一歩~


~震災復興からの新たな一歩~

 

東日本大震災から9年を迎え震災の犠牲になられました多くの御霊に哀悼の意を表すとともに、未だ震災の影響によりご不自由な生活を強いられている多くの皆様には心よりお見舞い申し上げます。

被災地にも9年の歳月が流れ、沿岸地域も震災の爪痕が表面上は癒えたような風景ではありますが、被災された皆様の心情を思うとき、上辺の景色とは違う情景が映っているものとご推察致します。

さて、岩手の港湾は東日本大震災による直轄港湾災害復旧事業が全て終了しました。現在は復興事業として久慈港の湾口防波堤、宮古港の竜神崎防波堤の整備を進めています。県内の重要港湾4港では、震災前の港湾機能がほぼ回復しており、復興道路、復興支援道路の延伸とも相まって取扱い貨物量の増加が続いています。

このように港湾貨物の取扱量が増加している要因は、一つには復興資材と称するコンクリート用砂砂利などが上げられますが、それ以外にも県内企業活動の活発化から生産されたものの輸移出や部品材料の輸移入など、コンテナ貨物を中心に増加しており、県内各地域が被災から立ち直り以前にも増した経済活動の胎動が沿岸部の港を通して響いております。

港湾での新たな経済活動として、大船渡港では臨港地区に地元セメント企業のバイオマス発電所建設が完成し、新たな事業が始まりました。釜石港では震災直後に開設したコンテナ航路によって取扱貨物量の増大とともに利用する企業も増え多種多様な貨物の流動が益々増加しています。宮古港では県内寄港実績のあるクルーズ船としては最大級のダイヤモンド・プリンセスが寄港し、地域の活性化を促しております。宮蘭フェリー航路の休止は残念ですが、航路の定期化によって地域間の繋がりが濃密となったことから、今後の取組によって再開が大いに期待されるところです。久慈港では、地元産の硅石の移出が依然と好調で建築用軽量外壁材等としての取扱いがかつて無いほど増加しています。

このように震災から9年経過して沿岸地域を含めた岩手県全体が創生に向けた歩みを確実に進めています。釜石港湾事務所では職員一丸となって、この歩みを止めること無く地域の皆様と手を携えて今後とも港湾整備に取り組んで参ります。

結びに港湾の利活用の拡大から沿岸地域さらには岩手県全体が創生、発展することを心から祈念し、港湾整備や利用拡大の取り組みに精励致します。


                          令和2年3月10日 釜石港湾事務所長 下澤 治  200311simozawa.jpg