ホーム > ミユのおしえて!「みなと」のつくり方 > 秋田港の浚渫工事~日本最大級の浚渫船が活躍~
- はじめに
みなさん、こんにちは!
前回、“浚渫工事は、船が安全にみなとを利用できるようにするための重要な工事であること”を学びましたね。
今回は、秋田港で現在(平成28年8月時点)行われている浚渫工事を紹介していきたいと思います♪ - 秋田港飯島地区泊地(-11m)浚渫工事
秋田港では、今年度「秋田港飯島地区泊地(-11m)浚渫工事」を進めています。
工事名からも分かるように、場所は「秋田港の飯島地区」というマリーナのすぐとなりにあるエリアです。
新しく出来上がった岸壁を使えるように、縦約466m×横約105mの範囲にある海底の土砂を取り除き、新たな泊地
(水深-11m)をつくる工事になります。
- 日本最大級30m3のグラブ浚渫船の紹介
今回の浚渫工事では、なんと日本最大級のグラブ浚渫船が使われています。船の長さは56m、幅は23mあります。
この浚渫船は、秋田港の工事で使用するために、今年の6月上旬、千葉県船橋港から約1週間かけて秋田港へやって
きました。(自航式ではないため、引船に引っ張られて移動します。)
秋田港では普段なかなか見ることのできない大きな浚渫船のため、ひときは存在感を出しています。
船に装備されたグラブバケットの高さは約9mもあり、ひとすくいで大型ダンプ5台分に相当する30m3の土砂をつかみ
取ることが可能です。
また、浚渫船には長さ38mのスパッド装置がついています。
スパッド装置とは、杭を海底に突き刺して船の位置を固定する装置です。
これがあると、船の位置を固定するためのアンカーワイヤーを張る必要がないため、別名アンカーレスグラブ浚渫船とも
呼ばれているよ。
また、コンパスを歩かせるようにしてスパッドを使い、自力で方向を変えたり、前進することもできるんです。
▲日本最大級のグラブ浚渫船(30m3) - 浚渫工事の流れ
次に、浚渫工事の流れについて紹介します。
①浚渫をする位置についたら、スパッドで船を固定し、バケットを開いた状態にして下ろします。
海底まで到達したらクレーンゲームのように、バケットを閉じて土砂をすくい取ります。
②すくい取った土砂の入ったバケットを海面に上げ、海水を切ります。
③海水を切ったあと、浚渫船のジブを回転させて、すぐ横で待機している土運船の中に土砂を入れ込みます。
この作業を繰り返して浚渫範囲の土砂を取り除いていくことで、十分な水深が確保され、船が安心して通航できるよう
になります。
※浚渫工事で取り除いた土砂は、新しい土地をつくる埋立用の土砂などに利用されています。
浚渫工事は一見地味な作業に見えますが、みなとの“航路(海の道)”や“泊地(船が向きを変えたりする場所)”
を安全に利用できるように整備する、港湾工事になくてはならない工事なのです。
浚渫工事によって、船は毎日安心してみなとを利用することが出来ているんですね。
☆ひとくちメモ ~海で使われている目印~
海ではいろいろな目印として『旗』が使われています。
例えば、船同士の衝突を防ぐために、“形象物(けいしょうぶつ)”と呼ばれる目印を船に掲げることが法律で定められています。
浚渫船についている「● ◆ ●」の形象物は、他の船の通航を妨げるような浚渫やその他の水中作業をしている船に
つけるもので、潜水士船についている「青と白」の形象物は、水中で潜水士が作業中であることを示す国際信号旗Aの
目印です。
ちなみに、国際信号旗とは、世界共通で使われている船同士の意思疎通を図るための旗のことです。国際信号旗には、
アルファベット文字旗26枚、数字旗10枚、代表旗3枚、回答旗1枚の計40枚があります。
その中の『U』と『W』の旗2枚は、『U』を上に、『W』を下に組み合わせると『ご安航を祈る。』という意味にな
ります。船が出航するときには旗を使ってお見送りするのもいいかもしれませんね♪