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  1. はじめに
    みなさん、こんにちは!
    昨年の1年間を通して「ミユのみなとレポート」では防波堤に着目し、港の役割や重要性についてお伝えしてきました。
    今年は気分も新たに「ミユのおしえて!『みなと』のつくり方」と題して、港の施設ができるまでの流れを紹介していきます。

    これからまた1年間、どうぞよろしくお願いします
  2. 『みなと』といえば・・・
    『みなと』といえば・・・みなさん思い浮かぶのは“防波堤”ではないでしょうか。
    “防波堤”とは、船で運ばれる貨物を安全に積みおろしできるように、海の向こうからくる波を防いで、船やみなとの施設を守る、大切な役割をもった施設であることを以前紹介しましたね。

    みなとへは毎日いろいろな貨物をつんだ船がやってきます。

    やってきた船は、一見好きなところを通っているように見えますが、実は“海にも道がある”んですよ
    船が通る海の道のことを“航路(こうろ)”と呼びます。
    また、船が岸壁に着いたり、向きを変えたりする場所を“泊地(はくち)”と呼びます。
    航路や泊地を整備・維持するために欠かせないのが、これから紹介する“浚渫工事”です。

    “浚渫”は普段聞き慣れない言葉ですよね。しかし、“浚渫工事”は、みなとで行われる重要な工事なんですよ。
    防波堤工事に次ぐ代表的な工事といえるのではないかと思います。

    まずは浚渫がどのような工事なのか、一緒に見ていきましょう。

  3. 浚渫工事ってなんだろう?
    “浚渫工事とは、安全な海の道をつくるために浚渫船という船を使って海底の土砂をすくい取る工事のこと”です。

    もしも、航路や泊地の水深が足りないと船のおなかが海底にぶつかってしまう恐れがあるため、十分な深さの航路や泊地を整備することが大切です。


    近年では、たくさんの貨物や人を運ぶことができるように船の大型化が進んでいます。テレビや新聞でも、大型のクルーズ船が入港したというニュースや記事をよく見ますね。
    こうした大型の船も安心してみなとを利用できるように、浚渫工事が重要になっているのです。
    ちなみに、浚渫工事で取り除いた土砂は、新しい土地をつくる埋立用の土砂などに利用されています。
  4. 浚渫工事の種類
    浚渫工事には、主に“ポンプ浚渫”と“グラブ浚渫”という2種類の方法があります。
    簡単に2つの浚渫方法の違いについて紹介していきますね。

    “ポンプ浚渫”とは、ストローで吸い上げるように、土砂と海水を一緒に吸い上げて海底を掘り下げる工事のことをいいます。面積が広くて、大量の土砂を扱う場合に適しています。
    (1)船の先端にある吸水管(きゅうすいかん)を海底におろして作業を始めます。
    (2)吸水管の先端についているカッターが回転して、海底の土砂を切りくずしていきます。
    (3)切りくずされた土砂は、船に内蔵されているポンプの力によって海水と一緒に吸い込まれ、船の後ろに続く長い排砂管(はいしゃかん)の中を通って、埋立地へと運び出されます。

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    “グラブ浚渫”とは、海底の土砂をつかみ取って掘り下げる工事のことをいいます。岸壁などの構造物の近くや、狭い場所での工事も可能で、ポンプ浚渫船より固い土でも大丈夫です。
    (1)船の先端には、大きなグラブバケットがついており、そのグラブバケットを海底におろして、クレーンゲームのように海底の土砂をつかみ取ります。グラブの大きさはさまざまですが、1度で2~5m3の土砂をつかむものから、20m3を超すものもあります。
    (2)つかみ取られた土砂は、土運船(どうんせん)に積み込んで埋立地へと運び出されます。
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    ☆ひとくちメモ ~浚渫の歴史~
    浚渫船などの機械のなかった昔は、もちろん人の手だけで浚渫工事が行われていました。
    板鋤簾(いたじょれん)という道具を使って、土砂をすくい取っていました。昔の土木工事は、人手を増やすことで大工事を行っていたようです。
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  5. さいごに
    “浚渫工事”は、船が安全にみなとを通れるようにするための重要な工事であることが分かりましたね。
    次回は、秋田港で行われる浚渫工事にクローズアップしていきます。
    秋田港の浚渫工事では、日本最大級の27m3のグラブ浚渫船が来る予定になっているよ!

============今日のおさらい=============
海の道を切り開く“浚渫工事”
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