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防波堤ができるまで ~ケーソン設置編~

  1. はじめに

    みなさん、こんにちは!
    前回は、“防波堤の土台が、「潜水士さん」によってきれいに形が整えられている”ことを学びましたね。
    今回は、完成した土台の上にケーソンを設置する作業に着目していきましょう☆

  2. ケーソン設置

    ケーソンとは、防波堤や岸壁をつくる際に使われる鉄筋コンクリートでできた箱のことでしたね。
    ケーソンの製作は、防波堤工事とは別で作業が進められています。
    ケーソンをあらかじめ製作しておくことで、土台が完成した後、ケーソンをもってきて設置すればよいので、現地での作業時間を短縮することができます。

    製作されたケーソンは(秋田港第二南防波堤の場合)幅24.4m、長さ30.5m、高さ23m、重さが約7,500トンありますが、中が空洞になっていて海に浮かべることができるので、設置する場所まで船で引っ張って運びます。

    この船を“引船(ひきぶね)”と呼びます。
    引船とは、ケーソンなどの構造物を移動させたり、大型船舶が安全に岸壁につけるように補助をしたりする船舶のことです。
    大型のケーソンの移動を円滑に行うために、引船2隻をケーソンの前後に配置して移動を行っています。
    ケーソンと引船との距離は約50m、速さは約2ノットで移動します。
    (1ノットは時速1.852kmなので、2ノットとは時速3.704kmとなります。
    これは、ゆっくりと歩くようなスピードです。)

    ▲ケーソンを設置場所へ運ぶ様子

    防波堤の工事位置にケーソンが到着した後、「土台」の正確な位置にセットします。
    ケーソン設置には“起重機船(きじゅうきせん)”が使われます。
    起重機船とは、重いものをつり上げて移動させるのに使う船ですが、ここでは、起重機船の“ウインチ”というワイヤーを巻き上げる機械を使ってケーソンの位置を合わせていきます。

    設置場所に近づいたら、ケーソン上にあるウインチと既設の防波堤をワイヤーでつなぎ、起重機船のウインチと海底に設置しているアンカーをワイヤーでつなぎます。
    これらのワイヤーを巻き取ることで設置位置に引き寄せていきます。
    その後、水中ポンプでケーソンの中に海水を入れ、ケーソンの底辺が土台から約50㎝の高さになるまで沈めます。
    この時、ケーソンを土台へ“ぴたっ”と設置するために“マス”で仕切られたケーソンの中に均等に海水が入るようにして、水平に沈めていきます。
    ばらばらに海水を入れてしまうと、水の圧力によってケーソンの壁が破損してしまったり、ななめに沈むことで、土台やケーソン自体が破損してしまう場合があるので、均等に海水を入れていくことはとても大切なのです。

    また、ウインチのワイヤーをゆるめたり引っ張ったりすることで、設置位置の左右を合わせる微調整をします。
    設置位置が安定したところで再度海水を注入し、土台上にケーソンを乗せます。

    ▲ケーソンを設置している様子  

  3. 中詰め

    設置完了後、ガット船を使ってケーソンの中に砕石を詰めていきます。
    砕石を規定の量までいれたら、バックホウと人力によって平らに整えます。
    バックホウとは、ショベルがオペレーター向きについている建設機械のことで、オペレーターは操縦席側に引き寄せるように操作をします。

    ▲中詰め作業と均し作業の様子

  4. 蓋(ふた)コンクリート・上部工

    ケーソンの中に均等に砕石を詰めたあと、今度はコンクリートミキサー船を使い、ケーソンのマスにコンクリートの蓋をします。
    コンクリートミキサー船とは、船内でコンクリートを製造し打設が可能な作業船のことです。

    蓋をした後、ケーソンの重さを重くして波の衝撃にも耐えられるようにする為と、波を止める防波堤の高さを確保する為に上部工を施工します。
    上部工では、ケーソンの上に鉄筋を組み、蓋コンクリートの時と同様にコンクリートミキサー船でコンクリートを打設して高さを上げます。

    ☆上部工まで行ったケーソンの重さは約43,000トンにもなってその重さだけで高さ10メートルの波にも耐えることができるんだったね!

    これで、上部工までの施工は完了となります。

    ▲蓋コンクリート打設


    ▲上部工


    ▲上部工完成

========= 今日のおさらい =========

それでは、今日のおさらいです。

防波堤工事は、大きな機械で行うダイナミックな作業。
その中で行われる㎝単位での繊細な作業がとても大切です。

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