- はじめに
みなさん、こんにちは!
前回は“防波堤の本体となるケーソンを防波堤の位置に設置するまでの流れ”を学びましたね。これで防波堤は完成したのかな?と思いますが、このままでは大きな波が来た場合、基礎捨石が流されて土台が崩れてしまう可能性があります。
基礎捨石の流出を防ぐために、土台を重量の大きいブロックで覆って保護する必要があります。
今日は、防波堤をつくる仕上げの作業“ブロックの設置”について学んでいきましょう☆
- ケーソンの足元ってどうなってるの?
上のイラストは、防波堤から見て陸側を『港内』、沖側を『港外』として説明しています。
イラストからも分かるように、ケーソンの足元には『根固(ねがため)ブロック』『被覆(ひふく)石』『被覆ブロック』が設置されています。
基礎捨石の重さは200~500キロ/個、その基礎捨石を守るための被覆石は約1トン/個、被覆ブロックは条件によって異なりますが4~10トン/個もあるんですよ。
根固ブロックは、字のごとく“ケーソンの根っこを固めて守る”もので、港外側のものだと長さ5m×幅2.5m×高さ2.2mの直方体で、重さは58.2トン/個もあります。
これらは、“防波堤の土台となっている基礎捨石が激しい波の勢いで削り取られたり、流出してしまうのを防止する”役割があります。
港外側など比較的波の力が大きい場所は、より頑丈に補強する必要があるため、根固ブロックが2列になっていたり、被覆ブロックを使って強化しているんですよ。
- 根固ブロックの設置
まずは『根固ブロック』について紹介するね。
根固ブロックは、ケーソンの土台となっている“基礎捨石の洗掘防止”を目的としてケーソンにきちんとくっつけて、ケーソンの周りを囲むように設置します。
形が四角くて白っぽいから、“とうふ”とも呼ばれているんだ。設置には、おなじみの“起重機船”のクレーンを使って根固ブロックを吊し、少しずつクレーンのワイヤーを下げていき海底へと運ぶよ。
▲根固ブロック設置の様子 - 被覆石の投入
根固ブロックの設置が出来たら、次は『被覆石』だよ。
被覆石(約1トン/個)は、“基礎捨石が防波堤を越えてきた波で飛ばされるのを防ぐ”目的で港内側に設置します。
設置には、防波堤の土台をつくるときにも活躍した「ガット船」を使用して海中に投入していくよ。
投入は、海面付近ではなく潜水士の指示によって投入場所付近で行います。▲被覆石投入の様子 ▲被覆石の均し作業の様子 その後、上面が±50cm以内になるように、均し作業を行います。
均す前には、杭や板を使って丁張(ちょうはり)を作り、それを目安に平面や法面を均していくんだよ。
約1トン/個の被覆石の移動は、潜水士によって船のウインチを使用して作業をします。 - 被覆ブロックの設置
最後に『被覆ブロック』を設置して防波堤は完成だよ。
被覆ブロック(4トン/個)は、“ケーソンにぶつかった波の流れで、基礎捨石が流出するのを防ぐ”目的で港外側に設置します。
そのため、根固ブロックのような四角ではなく、波に対して抵抗力が大きくなるよう、ちょっと変わった形をしています。
▲被覆ブロック設置の様子
▲被覆ブロックの設置を横から見た様子ブロックが不安定な状態にならないようかみ合わせに注意しながら、根固ブロック設置と同様に起重機船を使い、潜水士の指示によって行われます。
ここまでで、防波堤ができるまでの一連の作業は完了ですが、波の強い場所では、この後、『消波ブロック』を設置します。これを消波工と呼びます。
海の中にあって、普段は目にすることのないブロックだけれど、“防波堤の基礎を守る”大切な役割をもっていることが分かったね。
次回は、いよいよ最終回です。
防波堤が果たす役割について振り返っていこう!
========= 今日のおさらい =========
それでは、今日のおさらいです。
『根固ブロック』『被覆石』『被覆ブロック』は、
防波堤が効果的に機能するように基礎を保護する役割があります。
ブロックは“防波堤を支える縁の下の力持ち!”なんですね。
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※ブロックの設置場所や形状等は、波の条件などによって決定されます。
文章中の説明は「秋田港第二南防波堤」について紹介しているものです。