酒田港で行われている工事 その3 ー 上部工のかさ上げ工事 ー
更新日:2025年8月8日
上部工かさ上げ工事(じょうぶこうかさあげこうじ)ー完成上部工(かんせいじょうぶこう)ー
「酒田港で行われている工事 その2」では、防波堤の築造工事を紹介しました。築造工事では、ケーソンを設置し上部工までを整備していますが、築造工事の際に整備した上部工だけでは、台風や冬季風浪による越波を防ぐことは難しく、港内の静穏度を確保するには上部工の更なるかさ上げが必要となります。今回は、酒田港第二北防波堤で行われている上部工のかさ上げ工事について紹介します。第二北防波堤の上部工かさ上げ部分の構造は、もともとある上部工をコンクリートでかさ上げし、さらにその上部にスポットリーフとパラペットという構造物を製作しています。
工事の流れ

➀鉄筋の組立
パラペット部は上部工部分に穴を開け(削孔)、鉄筋を打ち込みます。スポットリーフ部は、ユニット化された鉄筋を設置します。ユニット化した鉄筋を使うことで、海上作業で鉄筋を組み上げる手間がかからないので、作業の省力化に繋がっています。

➁上部工かさ上げ部コンクリート打設〔₁〕
コンクリートを流し込むための型枠を組み立てます。その中に、コンクリートミキサー船で作られたコンクリートを、圧送車を使って流し込み、数日養生の後、型枠を外します。〔₁〕打設:固まっていないコンクリートを型枠の中に流しこむこと。

➂スポットリーフ・パラペット部コンクリート打設
スポットリーフおよびパラペット部の鉄筋部分にコンクリートを流し込むための型枠を設置します。その中に上部工かさ上げ部分と同様にコンクリートを流し込み、数日養生の後、型枠を取り外します。
スポットリーフの効果
波の力は猛烈で、時として防波堤を破損したり、動かす程の力があります。防波堤に同時に大きな力が加わることを防ぐためには、衝突する波の力を軽減する必要があります。スポットリーフを防波堤上部に配置することで、防波堤本体とパラペット部に当たる波に時間差を作り、防波堤全体が同時に受ける波の力を弱めることができます。また、同時に上部工をかさ上げすることで、台風や冬季風浪による越波を防ぎ、港内の静穏度の確保に効果があります。

上部工かさ上げの効果

写真は冬季風浪による越波の様子です。このように上部工かさ上げ部分は越波の発生が抑えられています。

酒田港第二北防波堤は現在も整備中の防波堤です。防波堤の延伸も続いています。今回紹介した上部工のかさ上げ工事も写真のように一部を施工するに留まっており、今後も順次工事を進めていきます。

